施設利用

供用施設を利用するには

FRS 放射線標準施設 《東海地区》
■放射線標準施設
放射線標準施設は、昭和55年にγ線、X線、中性子照射設備を中心とした建家の建設を行い、平成12年には加速器室と単色中性子照射室等の建家を増設して、放射線防護分野で国内最大規模の総合的な校正施設として完成しました。
鉄筋コンクリート造り、地上2階(一部3階)、地下1階、床面積4,153m2のこの建物には、各種の照射設備や加速器等が備えられ、中性子、γ線、X線、β線などの二次標準照射設備が整備されています。
施設の役割
放射線標準施設(FRS)は、国家標準とのトレーサビリティを確保した中性子、γ線、X線、β線の校正用照射設備が整備され、研究利用として放射線測定器の開発、放射線防護に係る研究及び校正技術の開発、産業・商業利用として種々の放射線測定器の校正、特性試験に利用することができます。
また、令和4年6月23日にJIS(日本産業規格)に基づき放射線測定器の試験を行う試験所として日本で初めて登録されました。「JIS Z 4345 X・γ線及びβ線用受動形個人線量計測装置」、「JIS Z 4416 中性子用個体飛跡個人線量計」、「JIS Z 4333 X・γ線及びβ線用線量当量(率)サーベイメータ」、「JIS Z 4341 中性子用線量当量(率)サーベイメータ」のエネルギー特性試験についてJNLA認証付試験証明書の発行が可能です。詳細は、担当者までお問い合わせください。
放射線標準施設の設備には次のようなものがあります。
No. 区分 設備(装置) 装置の概要
1 中性子・γ線 加速器中性子照射設備
(4MVファン・デ・グラーフ型加速器)
加速器を用いて発生させる放射線の種類(単色中性子・高エネルギーγ線)は選択するビームラインによって変わり、どちらか一方を選択できる。中性子専用ビームライン選択時は、加速イオンと複数のターゲットとの核反応により8keV~19MeVの単色中性子を発生させ、線量当量率又はフルエンス率の照射ができる。また、γ線専用ビームライン選択時には6~7MeVの高エネルギーγ線を発生させ、空気カーマ率又は線量当量率の照射ができる。
2 中性子

RI中性子照射設備
熱中性子用黒鉛パイル)
(重水減速材付Cf線源)
(黒鉛減速場

RI中性子源と減速材を組み合わせて使用し、速中性子、減速中性子、熱中性子を発生させる。発生できる中性子は0.025eV~4.4MeVで、線量当量率又はフルエンス率の照射ができる。
3 γ線 γ線照射設備
60Co照射装置)
137Cs照射装置)
核種と放射能が異なる複数のγ線源を用いて、エネルギーと線量率が異なるγ線を発生させる。発生できるγ線は60keV(241Am)~1.25MeV(60Co)で、空気カーマ率又は線量当量率の照射ができる。 
4 X線 中硬X線照射設備 X線照射装置を用いて、連続X線をフィルタでろ過したスペクトルの狭い複数の校正場を整備している。発生できるX線は20keV~270keV(平均エネルギー)で、空気カーマ率又は線量当量率の照射ができる。
5 β線 β線照射設備
(核種147Pm、85Kr、90Sr+90Y)
核種が異なる複数のβ線源を用いて、最大エネルギーが異なるβ線を発生させる。発生可能β線は225keV~2.28MeV(最大エネルギー)であり、皮膚・水晶体の組織等価吸収線量率の照射ができる。