2023.5.29 取材
(所属、役職は取材当時)

- 原子力機構で働く人 -

JRR-3利用促進チーム(研究炉加速器技術部)

「JRR-3を多くの人に知って使っていただきたい」この想いから生まれたJRR-3バーチャルツアー。制作に取り組んだのは原子力機構JRR-3利用促進チームの皆さん。3Dバーチャル技術を活用し、webサイト上でいつでもどこからでも研究用原子炉JRR-3の見学を可能としました。核物質防護上の情報管理といった厳しい制約の壁を、制作者らのアイディアと現場の連携で突破し、令和4年度第19回日本原子力学会 北関東支部 技術功労賞を受賞しました。

JRR-3のアウトリーチ活動に熱い志を持って取り組む、利用促進チーム代表の吉田さん、協力者の岸さん、神永さん、横須賀さんにお話を聞いてきました。


左から神永事務統括、岸課長、吉田氏、横須賀副主幹
(以下敬称略、役職はインタビュー当時)

まずはJRR-3バーチャルツアーを制作しようと思ったきっかけを教えてください
吉田「実は原子力機構で私たちが先駆けてバーチャルツアーを始めたわけではないんです。核不拡散・核セ キュリティ総合支援センターが保障措置教材のために導入して、バーチャルツアーを使った研修を行っていたのですが、その評判がとてもよかった。「JRR-3でもどう?」と彼らからお話をもらったのがきっかけです。令和3年2月にJRR-3が運転を再開しましたが、コロナ禍で外部見学のアウトリーチ活動が思うようにできず、どうやって一般社会に対するJRR-3の理解促進や運転再開に伴う新規利用者の開拓をするかが課題でした。今までとは違った形の発信方法を求められていたので、お話があった時に迷うことなく挑戦してみようと思いました。」
バーチャルツアーってどのようにして制作するのですか?
横須賀「360度撮影ができるカメラで、数メートルおきに撮影して写真を撮り溜めていきます。今回のバーチャルツアーだと全部で350枚は撮りました。そのうち実際に使用した写真は80枚程度ですが、編集ソフトを使って違和感がないように細かく切り貼り加工していきます。この写真が魚眼レンズのように写っているので、編集していた吉田さんはずっと写真酔いをして、気持ち悪いって言ってましたよね。」
吉田「そんな時もありましたね。今回のバーチャルツアーで紹介するのは施設なので、人がなるべく映らないように、朝早く来てパシャパシャ撮りました。装置名がよく映るようにポイントを決めて撮影するのがコツです。現場の人たちにも協力してもらいましたが、撮影時には映らないように物陰に隠れてもらいました。「はい撮るよー!隠れてー!」みたいな感じで。それでも写ってしまっている人もいるので、よかったら探してみてください。」
制作する上で気を付けたことは?
岸「核物質防護上、写したらNGな場所があるので、それには気を遣いましたね。」
神永「そうですね。正直言いますと、最初にお話を聞いた時は、情報管理が大変なのでハードルが高そうだなと思いました。」
吉田「どこまで公開可能で、どこから非公開なのか、その線引きが事務職の私たちでは判断できない部分がありましたので、全ての写真の機微情報を現場の人に確認してもらいながら編集を進めました。」
制作する上で工夫したところは?
吉田「発展性を持たせるようにしました。現在バーチャルツアーに出てくるポップアップには画像を掲載していますが、今後JRR-3の研究成果情報を更新できるようにしています。」
横須賀「バーチャルツアーを公開するタイミングについても工夫しましたよね。どうしたら皆さんに注目してもらえるかを考えた結果、機構報告会に合わせる形で公開しました。JRR-3のtwitterでも積極的に発信を行いました。」
制作してよかったと思うことは?
吉田「制作過程で施設を細かく見て回れたことですね。例えば制御室は通常の一般見学では入れないのですが、バーチャルツアーでは制御室内部を紹介し、web上でいつでも見学できるようにしました。これ本当に画期的なことだと思いませんか?他にも、施設の隅々まで見ることができて、JRR-3への理解が深まりました。
現場の人たちと協力して1つのものを作り上げた時の達成感というのも、何事にも代えがたいものだと思います。」
周りからはどんな反響がありましたか?
吉田「イベントや学会などで紹介を行ったところ、大学関係者からは学生への紹介にも活用できて有益であるとのコメントをいただきました。他にも電気新聞に掲載されるなど、外部からの反響も大きく、嬉しく思っています。」
日本原子力学会 北関東支部では技術功労賞を見事受賞!おめでとうございます!!HPの受賞者写真、皆さんとてもよい笑顔ですね
吉田「ありがとうございます。みんなで協力して作り上げた成果が、外部機関からも認めていただけたことはとても嬉しく思っています。チームのみんなは笑顔のとおりステキな人たちばかりです。」

http://aesj-nkb.org/files/images/kourou/kourou_r04_01.jpg
出典:一般社団法人日本原子力学会 北関東支部HP

ところで、代表の吉田さんってどういう方ですか?
神永「一言でいうと、優秀です。知識が広く、思慮深い。しっかりと先を見通しながら、コツコツ仕事ができて、完璧ですね。」
岸「現場に寄り添って業務ができる人ですね。現場がうまく回るように動いてくれて、要求通りに仕事をしてくれる。横須賀さんを含めて二人とも優秀で心強いコンビでした。」
吉田さんの好きなことは何ですか?
吉田「「仕事」です!…とは言えません。」
横須賀「そこは言ってください。」




横須賀さんと吉田さんの最強コンビ@展示室

確かに良いコンビですね。
話を戻しますが、JRR-3のアウトリーチ活動について教えてください
神永「震災以前は住民の方への説明会や一般の人の受け入れを積極的に行っていました。観光バスでいらっしゃった住民の皆さんを案内したこともあります。その後、震災から10年ぶりに運転再開を果たしましたが、今度はコロナ禍で見学を制限せざるを得ず、以前と同じようにアウトリーチ活動ができずに苦労しました。」
横須賀「文科省の企画に応募して、エントランスに1か月程JRR-3のパネルを設置したこともありますが、ちょうどコロナ禍になってしまったこともありましたよね。」
岸「震災前にはJRR-3は年間で2万人が利用していました。ユーザー数は徐々に戻りつつありますが、大学の研究機関や企業にどんどん使ってもらいたい。そのためには、やはり情報発信がキーとなります。バーチャルツアーのように違った形での発信を今後も積極的に進めていきたいですね。」
吉田「アウトリーチ活動の一環として、見学会や展示会でのイベントで配布するためのノベルティも作っています。これまでに、エコバッグやボールペン、クリアファイル、水筒など様々なノベルティを制作しました。今年度はペンケース制作を企画中です。このようなノベルティグッズを多くの方々に使っていただき、JRR-3に興味をもっていただくことも重要な活動だと思っています。」


JRR-3で制作したノベルティグッズ

3月に行われた原子力科学研究所の施設公開でJRR-3は大盛況だったとお聞きしました
岸「当日はあいにくのお天気でしたが、たくさんの人に来ていただいて大変ありがたいことです。施設公開は来訪いただいた方に楽しく原子力に触れあっていただくことが目的ですが、運転再開したJRR-3が地元を始めとした多くの方々に興味を持っていただけていることを感じることができ、嬉しくて私たちが楽しんでしまいました。」
神永「現在は対面での見学も行っていて、国内外を問わず多くの方々に見学いただいています。興味をお持ちの方には、ぜひ見学に来ていただきたいと思っています。」
最後に今後の意気込みをお願いします
一同「これからも様々な活動を通してJRR-3のアウトリーチ活動を行っていきますので、よろしくお願いします。」

ありがとうございました

関連リンク

JRR-3バーチャルツアー
https://sv2.panocreator.net/viewerController?u=u8128980541&p=p6001226554

JRR-3 ユーザーズオフィス
https://jrr3uo.jaea.go.jp/